本記事の目的
日本では近年、SNSやマッチングアプリを通じたロマンス詐欺の被害が急増しています。特に中高年の女性がターゲットになるケースが多く報告されており、被害者は「まさか自分が…」と思い込んでしまう傾向があります。本記事では、ロマンス詐欺の手口や実態、典型的なケース、そして被害に遭わないための心得や万一被害に遭ってしまった場合の対処法について、国内外の事例や警察・消費者当局の注意喚起を交えながら解説します。
被害が拡大するロマンス詐欺の実態
ロマンス詐欺とは
ロマンス詐欺とは、インターネット上で恋愛や結婚相手を装って近づき、被害者に恋愛感情や信頼を抱かせた上で金銭をだまし取る詐欺です。犯人はSNSの友達申請やマッチングアプリで接触し(出会い)、メッセージのやり取りを重ねて親密になった頃合いで(金銭的な)援助を求めてきます。従来は「海外で紛争地域に勤務する軍医・国連職員」を名乗り、「あなたと一緒に暮らすために日本に行きたいが渡航費や生活費が必要」といった典型的な手口が知られていました。最近ではそれにとどまらず、「タイ・ミャンマー国境の詐欺組織から逃げ出すための費用がいる」などともっともらしい架空のシナリオを語るケースも出ています。手口の多様化により被害が後を絶たず、警察庁の発表によれば2023年にはこの種の詐欺が全国で2,271件も確認され、被害総額は約277.9億円に上りました。被害者の年齢層は男性では50~60代、女性では40~50代が多くを占めており、一人当たりの被害額平均は1,000万円超と高額です。中には1億円以上をだまし取られたケースもあり(2023年に26件)、まさに深刻な社会問題となっています。
ロマンス詐欺の典型的な手口とケース
ロマンス詐欺師たちは巧みにシナリオを描き、段階的に被害者から金銭を引き出します。その典型的な流れは次のようになります。
- 出会い・接触: FacebookやInstagram、マッチングアプリなどで偶然を装って接触してきます。魅力的なプロフィール写真や肩書きを用い、まずはターゲットの興味を引くことから始めます。
- 関係構築: やり取りが始まると、「もっと親しくなりたいから」と言って他の連絡手段(LINEやWhatsAppなど)に誘導されることが多いです。こうしてプラットフォーム外で密なコミュニケーションを取りつつ、毎日のように優しい言葉や愛情表現を送り、被害者に恋愛感情や親近感を抱かせます。実際には一度も会ったことがなくても、長期間のチャットや電話、ビデオ通話によって被害者は相手を「大切な恋人」のように感じてしまいます。
- 援助の依頼: 信頼関係を築いた後、いよいよ詐欺師は金銭の話を切り出します。その名目はさまざまですが、「二人の将来のため貯金を増やしたいから投資してみない?」や「会いたいから渡航費を送ってほしい」、「海外から荷物を送るので関税や手数料を立て替えてほしい」といったものが代表的で。他にも「緊急のトラブルでお金が必要」「病気や事故に遭った」と同情心につけ込む場合もあります。どれも最初からお金をだまし取ることが目的であり、もっともらしい理由を装って送金を促してくるのです。
- 送金と更なる要求: 被害者が最初の要求に応じてしまうと、詐欺師は味を占めて追加の送金を繰り返し求めてきます。例えば「指定の投資サイトに少額を入金したところ利益が出て出金もできたので、もっと元金を増やせばリターンも大きくなる」と勧め、高額の投資を追加でさせるケースがあります。被害者が出金を試みると、「手続きに保証金が必要」「税金を払えば引き出せる」と別の名目でさらに送金を要求し、結局一切出金させないまま消える典型例が報告されています。投資絡み以外でも、「もう少しで目的が達成できるからあと○○万円だけ貸してほしい」と泣きつくなど、様々な手を使って際限なく金銭を要求してきます。
- 連絡断絶: 詐欺師にとって搾り取れるだけ金銭を得たら用済みです。突然連絡が取れなくなり、それまでの愛情たっぷりの態度は影も形もなくなります。連絡先やアカウントは削除され、被害者は初めて騙された事に気付き茫然とする――これがロマンス詐欺の顛末です。
こうした手口に陥った実際の被害事例も数多く報告されています。警察庁が公開した事例では、ある40代女性のケースではSNSで知り合った「イギリス在住の韓国人男性」と一度も会わないまま結婚の約束をし、「仕事でトラブルが発生し立て替え金が必要だ、払ってくれなければ契約違反で捕まってしまう」と懇願されて指定口座に何度も送金し、合計約500万円をだまし取られています。彼女は恋愛感情から相手を信じ込んでおり、「助けてあげたい」という一心でお金を振り込んでしまったのです。このように被害者心理として、一度「恋人」と信じてしまうと疑念を抱きにくくなり、冷静な判断が難しくなる傾向があります
海外でもロマンス詐欺の被害報告
海外でも同様の事例が多数報告されています。消費者庁のホワイトペーパーによると、「ソマリアで従軍している女性」を名乗る人物と交流サイトで知り合った男性が、「日本に送る荷物を代わりに受け取ってほしい」と頼まれ住所を教えたところ、配送料名目で50万円を請求されたという相談が寄せられています。これは典型的な「荷物を送るから手数料を払って」というパターンで、日本国内でも注意喚起がされています。また「暗号資産の短期取引で必ず儲かる」と持ちかけられ、指示通り投資した結果700万円を騙し取られた40代男性のケースや、マッチングアプリで知り合った女性に誘われて副業ビジネスに出資し3,300万円もの被害を出したケースなど、男女問わず様々なケースが報告されています。入り口は恋愛でも、実際には約8割以上が「投資」を口実にお金をだまし取られているとの統計もあり、ロマンス詐欺と投資詐欺が組み合わさった手口(いわゆる「ロマンス投資詐欺」)が特に増えていることがわかります。
詐欺に遭わないための心得(五箇条)
ロマンス詐欺の被害に遭わないために、以下の五つのポイントを心に留めてください。どれか一つでも当てはまる状況になったら、お金を振り込む前に必ず立ち止まって警察や信頼できる人に相談することが大切です。
- ネットだけの相手を安易に信用しない: SNS上の写真や肩書きは他人になりすますのが容易で、AI技術で本人そっくりの音声や動画すら作れます。いくらチャットやビデオ通話で親しくなっても、実際に会ったことがない相手は別人が演じている可能性があります。顔の見えないオンラインの関係では「だまされているかもしれない」という警戒心を決して忘れないでください。
- 一度も会っていない相手から「お金」の話が出たら要注意: ロマンス詐欺の加害者は、親密になった後にほぼ確実に金銭の要求をしてきます。どんな理由であれ、会ったこともない人から「お金を送って」「立て替えて」と言われたら、その時点で詐欺を疑うべきです。甘い言葉に流されず、冷静に状況を第三者に相談しましょう。
- うまい儲け話は疑う: 「必ず儲かる投資がある」「二人の将来のためにお金を増やそう」などと誘われたら警戒してください。投資詐欺を含むロマンス詐欺では、「あなた限定」「絶対もうかる」といった触れ込みで暗号資産やFXなどへの投資に誘導する手口が約7割以上を占めます。本来、投資に絶対はありません。うますぎる話は詐欺だと考えて間違いありません。
- 個人情報や荷物の受け取りを安易に承諾しない: 住所や銀行口座、身分証の写真などの個人情報をネット上の知人に教えるのは非常に危険です。特に「荷物を送るから受け取ってほしい」と頼まれても、決して応じてはいけません。海外の見知らぬ人からの荷物の受け取りを安請け合いすると、高額な手数料や関税を要求される詐欺につながります。個人情報を渡せば、あなた自身が犯罪に巻き込まれるリスクすらあります。
- 一人で悩まず、必ず誰かに相談を: 相手が「周囲に話さないで」と秘密にしたがる場合も注意信号です。少しでも不安や違和感を覚えたら、信頼できる家族や友人に状況を話してみましょう。また、公的な相談窓口も積極的に利用してください。警察の「#9110」相談ダイヤルや消費者ホットライン「188(イヤヤ!)」では、匿名でも相談に乗ってもらえます。早めに第三者の目を入れることで被害を未然に防げる可能性が高まります
万が一被害に遭ってしまったら…相談先と初期対応
「もしかして騙されたかも」と思ったら、被害を最小限に食い止めるために直ちに行動しましょう。まずは相手とのやり取りをすぐに中止し、それ以上のお金を絶対に送らないでください。その上で、以下の対応を取ります。
- 警察と消費生活センターに相談: 最寄りの警察署または警察相談専用電話(#9110)に被害状況を伝え、指示を仰いでください。また消費者ホットライン(188番)に連絡すれば、お住まいの地域の消費生活センターにつながり専門の相談員にアドバイスをもらえます。国民生活センターによれば、一度相手や業者と連絡が取れなくなると被害回復は極めて困難です。少しでも早く公的機関に相談し、今後取るべき手続きを確認しましょう。
- 振込先の金融機関に連絡: 送金した相手の口座が国内銀行であれば、ただちに振込先の銀行に事情を説明し、振り込め詐欺救済法に基づく口座凍結・返金手続きについて問い合わせてください。被害に気付いてから早期に届け出を行えば、犯人が引き出す前に口座を凍結できる可能性があります(一定期間内であれば、金融機関が被害金を保全し、所定の手続きを経て返金される制度があります)。
- 証拠の確保: 詐欺の立件や被害回復のため、やり取りの証拠をできる限り保存します。SNSやメール、チャットアプリでのメッセージ履歴、送金記録(振込明細や送金控え)、相手のプロフィール情報や写真、送金先口座の詳細など、後から振り返って「何をいつ頼まれ、いくら送金したか」が分かるものは全て記録してください。スクリーンショットやメールの保存、チャットのバックアップなども有効です。証拠が多いほど警察も捜査しやすくなり、犯人特定や他の被害者の救済につながる場合があります。
- 関係各所への報告: 利用したSNSやマッチングアプリの運営会社に対しても、詐欺に遭った可能性があることを報告しましょう。運営側は同一犯による他の被害を防ぐために該当アカウントを停止したり、注意喚起を行ったりします。また、国際ロマンス詐欺の場合は必要に応じて在外公館(日本大使館・領事館)にも相談し、現地警察との連携や情報提供をお願いすることも検討してください。
なお、残念ながら巧妙な詐欺グループは海外拠点で活動していることも多く、既に送金したお金を取り戻すことは容易ではありません。しかし決して自分を責めたり諦めたりせず、二次被害を防ぐためにも上記の行動を取ることが重要です。一人で抱え込まず周囲と協力して対応しましょう。
SNSやマッチングアプリを安全に利用するためのアドバイス
ロマンス詐欺に限らず、SNSや出会い系サービスを利用する際には次のような点に気を付けることで犯罪に巻き込まれるリスクを減らすことができます。
- 個人情報の公開範囲を見直す: 自分のプロフィールや投稿に、住所・勤務先・家族構成・経済状況など過剰な個人情報を書いていないか確認しましょう。誰でも見られる状態だと、詐欺師に悪用されターゲットにされる恐れがあります。SNSの公開範囲設定を限定したり、不特定多数が見る場では私生活の詳細を明かしすぎないよう注意してください。
- 知らない人からのメッセージに警戒: 見ず知らずの外国人や魅力的すぎる異性からいきなり「友達申請」やメッセージが来たら慎重に対応しましょう。すぐに親密な会話を仕掛けてきたり、短期間で愛の告白をしてくる相手は要注意です。返信する前に相手のプロフィール写真を画像検索してみて、他人の写真を盗用していないか確認するのも一つの方法です(実在のモデルや芸能人の写真であるケースもあります)。少しでも怪しいと感じたら、返事をせず無視・ブロックする勇気も必要です。
- やり取りは公式プラットフォーム内で: マッチングアプリで出会った相手が「LINEに移ろう」「WhatsAppで話そう」などと早い段階で提案してくる場合、注意しましょう。プラットフォーム内のメッセージ機能には業者の不正検知システムや通報機能がありますが、外部に誘導されると運営会社の目が届かなくなります。詐欺師はアプリ運営によるアカウント停止を避けるために外部連絡先を使わせようとします。相手を十分に見極めるまでは、できるだけサイト・アプリ内での通信に留めることをおすすめします。
- ビデオ通話や対面で確認: 長くテキストや音声のやり取りをしていても、相手が本当にプロフィール通りの人物かどうかはわかりません。可能であれば早い段階でビデオ通話を提案し、顔を見て話してみましょう。それを嫌がったり理由をつけて避ける場合、何か隠している可能性があります。また、安全が確保できる状況であれば直接会ってみるのも良いでしょう(公共の場所で、人目がある昼間にする、など安全面には十分配慮してください)。直接会おうとすると急に連絡が途絶える相手は、最初から会う気がない=詐欺目的である可能性が高いと言えます。
- 不審な言動は通報する: SNSやアプリで少しでも詐欺の疑いがあるユーザーに遭遇した場合は、各サービス内の通報機能を利用して運営に知らせましょう。あなたが通報することで他のユーザーが被害に遭うのを防げるかもしれません。併せて警察や消費者ホットラインへの相談も検討してください。
アクセルプロモート株式会社の詐欺被害防止への取り組み
アクセルプロモート株式会社では、自社のサービス利用者や社会全体をインターネット詐欺の被害から守るために、次のような取り組みを行っています。
- 最新の詐欺情報の公開と啓発: 当社は公式ウェブサイトやブログを通じて、ネット詐欺に関する最新動向や注意喚起情報を積極的に発信しています。本記事のように公的機関のデータや具体的事例を交えてわかりやすく解説することで、中高年の方々にも身近な問題として認識していただき、被害防止につなげています。公式SNSアカウントでもフィッシングや詐欺に関する迅速な注意喚起を行い、ユーザーへの周知徹底を図っています。
- 社内教育とセキュリティ体制の強化: 社員一人ひとりが詐欺の手口を正しく理解し適切に対応できるよう、定期的なセキュリティ研修を実施しています。国民生活センターや警察庁、IPA(情報処理推進機構)など公的機関の資料を研修教材に取り入れ、最新の手口や対策を社員教育に反映しています。また、社内の情報セキュリティポリシーを厳格に運用し、顧客情報の取扱いにも細心の注意を払っています。万が一不審な問い合わせや詐欺の兆候が見られた場合に迅速にエスカレーションし対処できる体制を整えるなど、組織として詐欺被害を未然に防ぐ仕組みづくりに努めています。
- ユーザーサポートと相談対応: 当社の提供するサービスをご利用中に、万が一フィッシング詐欺やなりすまし被害の懸念が生じた場合でも、ユーザーが適切に対処できるようサポート窓口を設けています。専用の問い合わせフォームやカスタマーサポートで、疑わしいメッセージやメールの相談を受け付け、専門スタッフがアドバイスを提供します。必要に応じて警察や関係機関とも連携し、ユーザーの大切な資産や情報を守るために最善を尽くします。また、ユーザーから報告のあった詐欺手口の情報を社内で共有し、サービスの安全性向上や今後の啓発活動に役立てています。
これらの取り組みにより、アクセルプロモート株式会社は社内外への継続的なセキュリティ意識向上を図り、顧客と社会の信頼に応えています。ネット詐欺は日々手口が進化していますが、当社は最新情報の収集と対策強化を怠らず、「被害に遭わない・遭わせない」環境づくりに貢献してまいります。
プロモーション・連携企画のご依頼は
弊社 アクセルプロモート株式会社 では、
• YouTube登録者10万人超の金融チャンネル運営
• 講談社からの出版を含む、書籍累計発行部数10万部超の実績
• 映像プロモーション制作、企業向けAI活用スクール運営
• 最新AI技術の解説・啓発コンテンツの発信
などを通じて、社会課題に向き合ってきました。
また、過去10年間にわたり、金融オウンドメディアの運営とプロモーションを成功裏に実行してまいりました。
株式・証券などの分野で培った広範な知見と経験により、為替市場や金融業界の最新トレンドを踏まえた効果的な戦略設計と発信が可能です。
詐欺撲滅・セキュリティ啓発に関するプロモーションのご依頼、連携企画、広告出稿のご相談は、お気軽にお問い合わせください。
▶ お問い合わせはこちら → [info⚫︎axpr.co.jp ⚫︎を@に変更してください。]
信頼と実績のある発信力で、詐欺のない社会をともに目指していきましょう。
参考文献・出典一覧(URL)
- 「ロマンス投資詐欺が増加しています!-その出会い、仕組まれていませんか?-」|国民生活センター https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20220310_1.html
- 特殊詐欺対策ページ「SNS型ロマンス詐欺」|警察庁 https://www.npa.go.jp/bureau/soumu/souni/sns_romance.html
- 消費者白書2020 第1部 第1章 第3節「越境取引に関わる消費生活相談」|消費者庁 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2020/
- 海外安全ホームページ「国際ロマンス詐欺に関する注意喚起」|外務省 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2025C104.html
- 「情報セキュリティ10大脅威 2023」解説資料(事例紹介)|IPA(独立行政法人情報処理推進機構) https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1476383.html
- 報道発表資料「SNS型投資・ロマンス詐欺の被害発生状況等について」|警視庁 https://www.npa.go.jp/news/release/202403_romance_investment_fraud.html